第63話『自己啓発本には書かれてない、マルチタスク仕事術(前編)』
トラです。
故スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式でスピーチする動画、YouTubeで何度も見ました。
今回はこのスピーチに出てくる1つのメッセージ(動画内9:25〜)を元に「やりたくない仕事」について展開する話、フランケンラジオ第63話です。
ここからは、ラジオの音声をベースにした内容です。
答えが「NO」だったら、今の仕事を辞めるんですか?
「やりたくない仕事をやっちゃいけない」みたいな風潮、凄くかっこいいんだけど、そんなこと本当にできるのかな?って話をします。
僕の知り合いに何にでも感化される人がいて、この人が熱くかっこよく語るんです。
「スティーブ・ジョブズのスピーチ見たか?鏡の中の自分を見つめて、お前のやっている仕事は本当にやりたかったものか?って自分に問いかけるんだよ。」
そこで思っちゃったんです。
答えがノーだとしたら、あなた今の仕事やめれるんですかね?
嫌なやつだと思うかもしれませんが、これって真実でしょう。
ジョブズのスピーチはとてもかっこいいですけれども、皆さん、騙されてはいけません。
この鏡に対する問いの答えが仮にノーだったとして、「やりたい」どころか「やりたくない」仕事だとしても、多分僕らは仕事に対して、やるやらないのイニシアチブを持ってないでしょう。
ここを意識しないと、こういったメッセージはファンタジーになってしまいます。
あなたは多分ジョブスじゃない。
僕もジョブスじゃない。
やりたい仕事だろうが、やりたくない仕事だろうが、恐らくその仕事に対する選択権なんて多くは持って無いんじゃないかな。
今やっている仕事が、冷静に考えて別に私じゃなくてもいい仕事だよな、って思うなら、立場としては労働力を職場にありがたく買っていただいている存在に過ぎない可能性が高いです。
そういう状態だと、仕事を選ぶインセンティブは恐らくないでしょう。
いきなりネガティヴ全開ですね。
ヒットしているビジネス本は、想定読者以外は使えない!?
「仕事のやり方、選び方」みたいな本を読むときは気をつけましょう、というのが今日の1つ目のテーマです。
「まず2ヶ月の休暇をとる」は、普通の人に向けて書かれたノウハウ?
よく本屋で売ってる、「全世界でベストセラー!」という本は、どのような人物に向けて書かれたものでしょうか?
それを絶賛している人たちは、どのような階層の読者でしょう?
そういう目で注意深く読んでいると、主にアメリカでバカ売れしたそのビジネスマインド啓蒙本は、ハーバードビジネススクールの教授が巨大コングロマリッドのコンサルタントを歴任して、そこのCEOなどに垂れ流したありがたいノウハウのオンパレードです。
例えば、巷で大絶賛のビジネス書その中の実例がひどかった。
「時間を大事にしろ」的な本でしたが、ある会社の取締役があくせく働く自分に嫌になって、2ヶ月の休暇をとった。
心と身体が健康になって、それからは本当に大事だと思うことだけやるようになって、仕事の効率も良くなった。
それをシンポジウムで2,000人の経営者たちにスピーチして拍手喝采。
読む方としてはドッチラケでしょう。普通の勤め人は最初の2ヶ月の休暇って段階で戻ってくる場所がないでしょう。僕たちのいる世界の話じゃない。
ファンタジーのメッセージを読んで、うっとりしている場合ではない
洋書の自己啓発本って大体そうですよ。少なくとも大手商社の役員クラスで、年収は2000万円は下らないっていう層に向けて書かれてます。というか、そういう層に向けたセミナーでバカ受けしたから本を出版してる。
この国(日本)で年収2000万以上って、実は0.5%以下*ですよ。200人に1人。30代なら1000人に1人だって。(*国税庁「平成29年度 民間給与実態統計調査結果」参照。平成30年度の調査では、0.6%)
そんな人に向けられたメッセージを読んでうっとりしてる場合じゃないです、僕らは。ビジネス書はファンタジーではありません。
そもそも情報やメッセージと言うのは、それが発せられた人間の立ち位置がどうかと言うことによって、使える情報か使えない情報かに分かれていきます。
全く違う立ち位置から発せられたメッセージと言うのは実践しようがありません。
鳥向けの情報は鳥のもの。みんなで羽ばたこう!とかいったところで、俺魚だし、私蛇だし、ってなもんですよ。魚が悪いとか蛇が低俗だとか言ってるわけじゃないんです。
鳥向けのメッセージは鳥の物、魚向けのメッセージはまた別にあると言う事です。
万人に向けた、地に足のついた3つのメッセージ
僕の経験から、どの立場の人間にも当てはまるメッセージがあるとすれば以下のようなものになると思います。
僕なりの万人に向けたメッセージ、すごくつまんないです。
- やりたくない仕事は、簡単にやる癖をつけろ。
- 仕事を加工して自分の持って帰れるものに作り変えろ。
- 持って帰ったものを、どうアウトプットするのか意識しろ。
1つ目は「どうでもいい、やりたくない仕事は簡単にやる癖をつけろ」
やるな、じゃなくてなるべく労力を使うなってこと。
2つ目は「仕事を加工して自分の持って帰れるものに作り替えろ」
仕事を割り振られたら、「やりましたよ」ってそのまま納めるのではなくて何かを持って帰れるように頑張って作り替える。
3つ目は「持って帰ったものを、どうアウトプットするのか意識しろ」
意識しながら加工をすること。
以上です。誰でも実践できるのが売りかな。
単純ですが、何をコンセプトにしているかというと、
「タスクは自分のために加工しろ」って言ってるんです。
じゃあ一つづつ見ていきましょう。
メッセージ①「どうでもいい仕事(ブルシットジョブ)は、最低限の時間と労力と成果で終わらせろ」
この「どうでもいい仕事」の定義は様々でしょう。
人生かけてやりたいライフワーク、ここまで行くと大げさだけど、少なくとも楽しくて幸福につながるような満足を得られる仕事、みたいなこと以外は全部コレですよ。
こういうのは、みんな作業です。
師匠と対談していてこの話題に言及して、僕の考えが固まりました。
こういうのをタスクと世の中で言ってます。
タスクを抱えていない人はいない、異なるのはその割合。
どんな立場の人も、ある程度以上タスクを抱えています。
仕事に対するインセンティブが大きい人はタスクの割合が少なく、時給いくらの仕事なんかでは、ほぼ100%タスクだけでできています。
例えば金のためだけにやってるクソ下らないバイトなんかは、インセンティブなんて全くないです。これをやれっていうタスクがある(上から降ってくる)だけですね。
自分でビジネスを組み上げていく立場にある人も、クリエイティブなプロジェクトをやる傍らで、ある程度ルーチンになったタスクを処理しています。そのクリエイティブなプロジェクトだって、フレームの作成見通しがついたらあとはそれをタスクとして片付けていくフェーズに移行するわけです。
マルチタスクで仕事をこなすには、最低合格ラインを自分で見極めることが必須である。
僕のモットーは、「興味の対象から外れたタスクは、自分がやらないか、自分でやるなら簡便に済ませる」です。そのためには、そのタスクをキッチリと解析しなければなりません。
タスクを解析するというのは、自分がやるべきことを理解する、という意味ではありません。
降ってきたタスクが何を求めているのか、このタスクが複数の仕事の流れの中でどういう意味を持つのか、このタスクを最低限成り立たせるために必要な条件は何か、を見極めることです。
最も簡単に言い換えれば、このタスクの最低合格ラインは何点か?を自分で見極めること。
これをキッチリと狙っていくということですね。
やらされ仕事に100点は必要ないです。合格点が60点ならば、キッチリと61点をとりにいきましょう。ここでは、ダラダラとやってはダメです。
周りで100点を目指している人たちを横目に、61%の時間と労力でそのタスクを終わらせる意識が必要です。
世の中には完成度なんてどうでもよく、やってあれば合格みたいな穴掘りみたいな仕事であふれています。それもよく見ると満点は100点とか書いてあるんですよ。本当の合格点は5点なのに。そういうものはキッチリ5点取って終わらせる。これはいい加減な態度などではなく、マルチタスクで仕事をこなしていくためには絶対必要なスキルです。
マルチタスクを振る人(上司)は、エフォートの振り方が下手な部下をこう見ている。
たまにこういったマルチタスクをこなす上で、圧倒的にエフォートの振り方が下手な人がいるんですよ。
今やってるテスト(タスク)以外にも同時にテストがいっぱいあって、同時にあるいは順々にやっつけていかなきゃいけない。
そんな環境で一科目だけ100点で、他の科目は手付かずみたいな人は、エフォートの振り方が下手です。
100点とるエフォートで、5点づつ20科目合格する人の方が得体が知れないですよ。
タスクを振られる立場の人って、ちゃんとやったね、一番上手にやったね、って褒めてもらいたくなっちゃう習性があるから100点に逃げようとする。
でも、100点スゴイねって褒めてくれる人は、あなたのこと「使いやすい人だな」程度にしか思ってないですよ。凄い人だとは思ってくれません。
何か大きなことやろうとした時に、ピックアップするのは後者の得体が知れない、底が見えないタイプです。
ぶっちゃけ世の中、才能は育てるものではなく、見出すものだって思われてるんですよ。あるんだかないんだかわからない才能なら、とりあえず便利な道具って書いた引き出しにぶち込んで、ルーチンの教育を行なって平均ラインの引き上げをする。これが組織のカタログスペックになる。だから教育の重要性はみんな重々わかってる。おろそかにするつもりはないですよ。
でも、見出された才能ってやつが入れられる箱っていうのは、また別の箱なんですよ。そして鍛え方もルーチンではなく、その才能にカスタマイズされたものになっていきます。
なぜなら、そういう人材は組織のカタログスペックの担保ではなく、組織の強さに直結するからです。
ピンチやチャンスで出てくる代打みたいなものです。そういう育成枠に入るためには、まずはピックアップする人間の目に止まらなきゃダメですよ。
ポイントのおさらい「どうでもいい仕事で100点を狙うな」
ちょっと長くなってきました。
この話はすっごい半端だけど一回切りましょう。
今日の話は、カッコいいビジネス啓発本に書かれたCEO向けのメッセージにウンザリした僕が、僕なりの地に足つけたメッセージを言いかけてやめるっていう半端な話でしたね。
ポイントが3つあるうちの1つ目で尻切れるっていう体たらくだけど、1つ目のポイントは「どうでもいい仕事で100点狙うな、60点で合格点なら、61点を狙っていけ」って話でした。
次回に続きます。
今回の話を聞いて。パーキンソンの第一法則を思い出した。
トラです。
今回記事にした第63話は、やりたくない仕事がある人がどう仕事と向き合うか、巷に溢れる自己啓発本に辟易したフランケンさんからの、地に足のついたメッセージでした。
3つの中の1つ目で終了してしまいましたが(笑)
3つのメッセージの復習です。
- やりたくない仕事は、簡単にやる癖をつけろ。
- 仕事を加工して自分の持って帰れるものに作り変えろ。
- 持って帰ったものを、どうアウトプットするのか意識しろ。
僕はこの1つ目のメッセージを聴き、パーキンソンの第一法則、『仕事の量は、完成のために与えられた時間を満たすまで膨張する』を思い出しました。
上司から指示された仕事は、どんな成果物を求められているか一応考えます。ですが、合格点については考えていませんでした。
時間いっぱい、自分が出せるベストのクオリティをものを出す。もしくは時間切れでその時出来ているクオリティで提出する。このどちらかでした。
良く言えば「真面目」かもしれませんが、このメッセージを受けてからは「要領が悪い」だけだと気づきました。ラジオ内の言葉を借りると「100点に逃げている人」。
僕と同じ仕事のやり方になってしまっている人は多いと思います。
次回は、今回紹介出来なかった残り2つのメッセージについてのお話です。