第33話『「業務の属人化」という、ありふれた問題の本質(後半)』
こんにちは、トラです。
前回に引き続き、業務の属人化のお話です。
今回は、フランケンラジオ第33話「属人化問題そのに!」の文字起こし記事です。
前回とあるIT社長が社員の属人化行為を弾劾するというブログ記事をベースに、世間一般で説かれている属人化のデメリットが本質を捉えていないというお話でした。
フランケンさんが考える4つのキーワードを紹介して終わった続きが今回のお話です。
4つのキーワードと2つのビジネスモデルにおける階層を軸に、属人化によって企業側にどんなデメリットがあり、労働者側にどんな優位性があるのかが語られています。
もとのnote記事に書かれている概要を読むだけでも良いかもしれませんが、やっぱり音声をしっかり聞くか内容をしっかり読んだほうが理解は深まると思います。
それでは本編に入ります。
前回の続きですよ、続き。
フランケン通勤ラジオです。このラジオは僕が通勤時間に思いついた事っていうのを録音して、それを僕の筋トレの時間などに聞いて僕が楽しむっていうラジオなんですよ。
これたまたま見つけてきちゃってる人がいたとしたら、なんかね、僕の遊びに付き合わせてごめんなさい。
今日はですね、続きなんですよ、続き。
前回、属人化の話を始めて、途中で重くなって疲れてやめちゃった。
この続きをですね、僕ちょっとね考えまとめたんで、忘れちゃう前に取っとこうかなということでまた話を始めます。大丈夫なのかね、これ。僕はこういう暗い話とかくさい話っていうの大好きなんで、後で聞いててもニヤニヤするんだけども、これ普通の人が聞いてたらね、なんでこいつはこんなに社会のことが大嫌いなんだろうって言うんじゃないかと思って。
多少心配なんですけども、それでもいいんです。僕が大好きなんでこれはやめません。一回切ります。
属人化を考える上で必要な、4つのキーワードと2つの階層。
それではですね、属人化の話しましょうね。前回何の話しをしたかって言うと、業務を属人化すると会社困るよって言う話。効率悪くなるから属人化させないようになんとかプロテクトしようぜっていう情報が多いねって話なんですよ。
僕が考える属人化問題っていうのはもうちょっと深くて、深いっていうのは、もうちょっとドロドロしててキーワードとしては4つぐらいあると思うよって話ししました。
一つは「ビジネスモデルの侵食と切取り」、もう一つは「ボトルネック」、もう一つは「キャッシュポイント」、そして「労働者の進化論」だね。この4つぐらいね、なんのこっちゃいな話なんですけれども、ちょっとねこれ話していきましょう。
属人化は「運用」に関わる階層と、「構築」に関わる階層に分かれる。
これ話す前に、属人化には2つの階層があるんですよ、これ僕の私見なんですよね。ビジネスモデルの「運用」に関わる階層というのと、「構築」に関わる階層というのと真っ2つに分かれます。異論は認めます。ただ僕がこの2つにこうやって分けると話ししやすいって言うんで分けてみました。
まずビジネスモデルの運用に関わる階層っていう話なんですけれども、これ一言で言うと効率の問題です。例えばね、正常に機能しているビジネスモデルっていうのがあって、これがスムーズに回転しない、これ運用の問題ですよ。
最も重要なことはこのビジネスモデルそのものは変化しないっていうことなんですよ、ここではね。ですからモデルの回転がスムーズになれば、今まで通りにビジネスが回転するっていうことですね。
前回紹介した、社員が顧客情報とかを独り占めしてうまく会社が回らないみたいなんで話っていうのは、所詮ねこのモデルを回転させる歯車が効率悪く動いてるとか、規格部外品が歯車に入っててねちょっとメンテに手順かかってる、みたいなその程度なんですよ。
ですから、この歯車含めた運用の実態っていうのが人的要素でね、勝手にコントロールされてるってだけですから、これを排除してしまえば元に戻るよね。ビジネスモデルの運用の階層においては、この状態を属人化って言ってるんですけれども、これ大した問題じゃないと思ってます。
この運用の階層における属人化、これに対して行われる対応というのは2種類ですよね。1つはそういう仕様変更をさせない、もう1つは変更された仕様を元に戻す、この2つでいいわけです。
いわばこの階層における属人化がもたらす脆弱性っていうのは単にシステムが安定運用されてないっていうリスクであって、回りにくくなることあっても、止まることを危惧するっていうタイプのものではないんですわ。
ですから、その「見える化」とかそういうので解決しようなんていう甘っちょろいことっていうのは、要はねあの歯車ちゃんと回ってはいるんですよ、だから大した話ではないですね。
じゃあ大した話になるような属人化って何かっていうと、構築に関わる階層の話ですよね。
1.「ビジネスモデルの侵食と切取り」ビジネスモデルの保護が収益の保護。
これは端的に表現すれば僕が一個目のキーワードにあげた「ビジネスモデルの侵食と切取り」なんです。これがキャッシュポイントに近いぶんお金を生むポイントに近いところである特定の人がビジネスモデルそのものをねあの全く違うものに変容させてしまうと、これは結構でかいリスクになります。
企業の収益構造の保持っていうのは、ぶっちゃけビジネスモデルそのものを隠蔽して保護する、これが基本になってくるんですよ。
なんでかって言うと、このビジネスモデルの解析複製っていうの簡単にされちゃうと、その自社の優位性っていうのは損なわれるじゃないですか。
あるいはターゲットとするねマーケットがね競合してる場合で、これはモデルの優劣っていうのがそのまま競争力の優劣に変わっちゃうんで問題なんですよ、そしてビジネスモデルっていうのは、マーケットの変化に合わせてそのアップデートしてその競争力を保っていくっていうのが基本なんですよ、これがまず前提ですよ。
このビジネスモデルの侵食っていうのは具体的にどういう状態かっていう話になるね、ここで残り二つのキーワードっていうのが4つうちの2つのキーワードが出てくるんですよ。
2.「ボトルネック」パラダイムを変えられると企業はコントロールを失う。
まずは「ボトルネック」のコントロールですね。
これは効率の問題のところのボトルネック形成でもあげられるんですけれども、例えば顧客情報を勝手に一元化したりとか、そういう運用の問題っていうのはここでは指さないです。
ビジネスモデルを部分的に変更してしまって、業務効率を完全に破壊するようなポイントっていうのを人為的に作ってしまう、別の業種に変えてしまうような変更というのに人が起こすと大変ですね、これは。
社内の運用のみならず、外部業者などを含めて効率化されたスキームの構造として発言することが多いんですよ。見た目上の業務効率化によくなるどころか、そのパラダイムが変わっちゃうことあるんですよ。
これって近視眼的に見ると、業績も上がって大いに評価するようなものに見えるかもしんないんだけど、スキームをコントロールするものを芸術的に困難に押し上げちゃったり、コントロールするための鍵っていうのを特定個人に置くような構築すると、このスキームのコントロールっていうのは最早企業には残されてないんですよ。
3.「キャッシュポイントのアクセス」お金に近いところのコントロール。
あと「キャッシュポイントのアクセス」ですね、今までのこのトリックっていうのがここまでで終われば、運用の問題まで押し戻すことできるんですよ。そこの部分を全部切り取って、元のスキームに戻しちゃう。
けれども問題はこのトリックっていうのをキャッシュポイント、お金を生む仕組みの近くでこれやられると致命的です。
なんでかって言うと、ここまで来ちゃうと企業が収益を上げるキャッシュポイントというの完全に解析されてるって事になっちゃうから。
その企業が構築した既存のシステムよりも優れたシステムも属人的に抑えられてコントロールもできないという風になっちゃったら、今この企業というのは自分のイニシアチブでキャッシュポイントをトリガーしてないんですよね。
ビジネスモデルっていうのは変化に合わせて、マーケットが変わるのに合わせてアップデートしなきゃいけないよってねさっき言いましたけれども、勝手にアップデートされてしまったモデルっていうのは、自分の手に戻すことができないんです。
なぜならコントロールしてないから。
これを属人的にやられちゃった時っていうのは、ある種の取引が必要になる。
この取引っていうのは簡単ではないんです、ですから個々の属人化業務の中のボトルネックっていうのとキャッシュポイントっていうところはこれに致命打になりますよっていうのが僕の考えです。
4.「労働者の進化論」異端を認めず、アップデートだけを得ることは不可能。
最後のキーワードの「労働者の進化論」って話なんですけれども、僕の私見では属人化対策っていうのは、システムで運用するとかと言う話じゃなくて、企業のスタンスに言及する問題だとも考えてるんです。
難しいこと言いましたけれども、例えば被雇用者の中にすごく優れたビジネスモデルを武器に、業務基盤を脆弱にする能力っていうのを持ってるものがいるよっていう風に思った、そういうの見つけちゃったとします。
ビジネスモデルを完全に侵食して属人的に切り取ってイニシアチブを取られちゃったっという、そういう業態というのを自分の会社の中に見つけた時に、この企業がとる二つのスタンスっていうのがあるんですよ。
まず一つは、それを許容しない。そこを徹底的に排除して、元々あったビジネスモデルで自分たちを生存させようっていう風な、時間を巻き戻し頑張ろうってこと。
あともう一つは何かの権利を切り売りしてしまうことで、このアップデートしたビジネスモデルをその自分のものにする。そのどっちかしかないんですわ。
異端っていうものね認めないで、アップデートだけ掠め取りたいってのは不可能なんです。
進化した労働者は、企業にとって生存を脅かす存在になる。
このレベルにおいては、この労働者被雇用者っていうのはすでに労働者のレベルになくて、何らかの別の形に進化しちゃったんですよ。この進化を見逃してしまうと、最終的にはエイリアンみたいなものにお腹からガブッて食い破られるようなことになっちゃうんだと思うんです。
城攻めで言うと既に本丸っていうのが落ちてて、城主の前に敵がポンって座ってるんです。その時にお前の首をよこせ、じゃなくてあの融和か破壊か、要は一緒にやるかぶっ壊すかっていうのを迫ってるっていう状態に相当しますね。
喉元に手をかけられてしまったら、城主は認識を改めるのか。
もし何か違いがあるとすると、その城主っていうのねあのその敵を殺しちゃうことができない代わりに城から出ててもらうっていうのもギリギリできるんですよ、この状態って。
ただその場合は、この出てった敵が城の隣にもっと大きな城を建ててしまうかもしれませんね。
城主の優位性っていうのはこの場合にあるのは、一時的な資本力だけでビジネスモデルのデザインではもう既に敗北してるからです。ですから一番に恐れるべき属人化っていうのは、効率の問題とかそういうものではなく生存の問題で考えなきゃ企業がもたないんですよね。
あらゆるビジネス書とかっていうのを斜めに見てみると、あの属人化問題っていうのを単なる運用の問題として語るんですよ。正直ね、そんなレベルの話どうだっていいですよそんなの。
一番おっかないのは、家来と思っていた武将が城主の喉元にぐっと手をかけちゃってる、その武将っていうのが凡百のの武将とねもう一線をかくしてるぞという時に、”家来”から「もう分かった、”盟友”だ」と、”仲間”だというふうに認識を改めてイーブンに付き合っていくことができるかっていうのが大事なことですよね。
ビジネスモデルを属人的に切り取れる「瀕死の優良企業」
問題はそういう風なところまでその自分のビジネスモデルを解放するなよっていうことなんです、きっと。あるいは、その働く側としてはそういうスキを見つけたら拾ってつけようってことですね。
結構ね、瀕死の優良企業でそういう目で見ると僕いっぱいあると思います。抽象的なこと言ってんなってね思うかもしんないんですけれど、付き合ってきた中でもうすでに腹が破れそうで皮一枚みたいな企業って結構いますよ。
驚くほど多いです、特にねあの特定技術とか特定のサービスとかに立脚してね、急激にね企業伸ばしたような会社っていうのは結構この傾向強そうだなと思って外から見てます。例えばね小数で行えるような労働集約産業、これはね全てこの鉢に入っています、ITサービスとか。
あと意外かもしんないですけど、医療系ほぼ全滅ですよね。
逆に資本集約型産業はこの傾向弱いですよね。これは資本力の差っていうのがビジネスのモデルの優越を埋めてしまうから、頑張れるんじゃないかと思うんです。まあ起業家がこんなラジオを聴いてるわけないので、このラジオが誰かの役に立つとすると、その進化途中の労働者階級の人だろうなっていうふうに思うんです。ですからそんな聞いてくれてるあなたがもしいたら、自分が無自覚にどれぐらい業務を属人的に切取れてるかっていうので調べる方法を、最後にちょっと言っとこうかなと思います。
リバースプロトタイピングで、自分の属人的優位性を測る。
リバースプロトタイピングって言うんで手法なんですけど、元々いろんな業務から潜在的に不要なものをね取り除くための手法なんですよね。
これをちょっと利用して、まず自分の持ってる業務から特定の物を選んで、意図的にこれをやめてみるんです。
仮定ではなくて実際やめちゃうんです。
それでどんな影響が出るのかっていうのを注意深く観察してください。業務の効率が落ちる、その程度で済むんであればねあのまだ大丈夫ですよ、大丈夫っていうか企業にとってね。
これが完全に止まっちゃうようなブランチがどっかに発生したりだとか、あるいはこの止まったブランチっていうのがタイムラグがあってもあなたなしで回復が可能なものなのか、あるいはね止まったブランチっていうのがそのタイムラグがあってもあなたなしでね回復不可能なのか。そこを見極めてみるのがいいと思います。
予想通りのボトルネックっていうのは検出されると思うんですよ。でも意外と思わぬところで致命的なボトルネックがねあの出現することがあるんですよね。
こういった属人的なボトルネックっていうのは、会社とか企業にとってねすごい大きな問題ですよ、放置しとくと。あなたにとってもその色々考える価値のあるね問題になるはずです。
ちなみに究極のリバースプロトタイピングっていうのは、突然長期の病欠をすることです。
これで全然業務が滞らない・ビクともしないようであれば、少なくともあなたはその企業において属人的な優位性をあんまり持ってないでしょう。
ですからあまり変なことは考えず 、日々仕事を頑張るのがいいのかなっていう風にちょっと思いますね。
「公的機関」は無敵である、という話。
つまんない話になりましたけど、ちなみにボトルネックと属人性という話で僕がちょっと今最後に思ったのが、公的機関っていうの無敵ですわ。公的機関って効率どころか最初から収益モデルが組織の目的になっていない。どんな戦略も実効性を持っていないんですよ。例えば、「公園」って、「公園である」っていう価値が最大の目的じゃないですか。
収益とか多くても少なくても関係ないんですよ。
利用客の数とかゼロでも100でもどっちだって良い。利便なんて論外ですよね、
だからスポーツ禁止とか散歩禁止とか、飲食禁止とかおおいに合理にかなってるんです、公園としては
でもぶっちゃけその辺の地区にある公園っていうのは、子供が遊ぶようなんで場所とかではなくて防災上の緑地帯で法律で決まってんです。ありさえすれば良い。おおっぴらには言えないけれど、その公園とかでね正直に言えば利用者はゼロが最も都合がいい。ですから例えばこの公園の利便を劇的に改善するような、すごいいい公園を作るとかっていう案がもしあったとして、これ何の役にも立たないですよね。元々公園でお城じゃないから、倒すべき上司なんで住んでないんです。
属人性の高い切取りとか実行しても勝てる相手いないんで、公務員の皆さんがもし聞いてたとしたら無駄だからやめましょう。
属人的な優位性を持たない労働者は、本当に弱い。
前後半に渡っての「属人化問題」についてのお話、いかがだったでしょうか。
私自身の経験からすると、これまで労働者側でありながら属人化を嫌っていたフシがあります。
これは間違っていたんじゃないか、というのが前回今回のラジオを聞いた率直な感想です。
ビジネスモデルを構築・運用して収益を上げていく視点を持つ経営者側のようなことをする前に、一個人として属人的な優位性を持てるような状態(高い業務スキルや、業務スキームを構築・浸透させられる存在)にしておくべきだったと反省しています。
企業に正社員として雇われている被雇用者でなく、例えばフリーランスのような個人事業主であっても結局は他者との相対的な比較の上で仕事を得ることになるので、ちょっと属性は異なるかもしれませんがある種の「属人性」は必要ではないかと考えます。
逆に自分が起業して経営者となる時が来たら、本質を間違えず属人化を防ぐためにこの前後半のラジオと記事を読み返そうと思います。